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公開講座「ケーススタディからみる女性の起業とその意義」開催

公開講座「ケーススタディからみる女性の起業とその意義」を「アントレプレナーシップ」の授業で開催しました。

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公開講座「ケーススタディからみる女性の起業とその意義」を「アントレプレナーシップ」の授業で開催しました。

2024年104日、公開講座「ケーススタディからみる女性の起業とその意義」を昨年度に引き続いて開催しました。この公開講座は、34年生を対象とする科目である「アントレプレナーシップ」(担当:藤野洋サービス経営学部教授(専攻:中小企業論、ベンチャー企業論、SDGs(持続可能な開発目標))の第3回授業に有識者2名を招聘してご講演をいただいたものです。

写真① 受講者に公開講座の目的などを説明する藤野教授

先ず、株式会社日本政策金融公庫総合研究所(以下、「日本公庫総研」)の主席研究員であり、(特に女性の)起業について多くの調査・研究をご発表されている桑本 香梨(くわもと かおり)氏に昨年度に続いてご登壇いただき「女性の起業と起業への関心」とのテーマでご講演をいただきました。

写真② 桑本主席研究員のご講演資料の表紙

写真③ 桑本主席研究員のご講演のアジェンダ

ご講演では、金融業という「産業」に属すとともに政府金融機関として「公的機関」でもある「1.日本公庫について」どのような役割・業務を担っている機関なのかについてご説明いただきました。具体的には、金融資本が不足しがちな中小企業の資金繰りのサポート、あるいは資金供給にとどまらない起業家への支援や民間金融機関の資金の呼び水としての役割についてお話しいただきました。その後に、これまでの桑本主席研究員のご研究を基に「2.増える女性の起業」「3.女性の起業の意義」「4.壁を乗り越え起業した女性たち」について、日本公庫総研が毎年実施している「新規開業実態調査」などのアンケート調査や公的な統計、および多くの事例を基に女性の起業家が増えていることや起業の費用が少額化していることなどをご説明いただきました。

写真④ 桑本主席研究員の講演資料の一部(1)

写真⑤ ご講演中の桑本主席研究員(1)

また、女性の起業の事例からは、女性ならではの発想、気づきを基にしており、サービス業での起業の比率が男性に比べて高いとのご説明をいただきました。

具体的には、社会参加や孤立しがちな女性(特に、育児期の母親)のつながり作りに対する意識の高い起業家や金融機関の職員から工務店の経営者に転身して女性ならではの視点で提案を行っている起業家、白髪染め専業といったニッチマーケット(すき間市場)の開拓によって地域社会にとって意義の高い事業を行っている起業家、全国に事業を展開しつつある起業家など、女性起業家のますますの広がりや発展が期待されていることが分かりました。

写真⑥ 桑本主席研究員の講演資料の一部(2)

写真⑦ 桑本主席研究員の講演資料の一部(3)

加えて、コロナ禍による生活環境の変化が女性の開業のきっかけなったことなどもご説明いただきました。その事例として2021年に創業したキッチンカーの製造・販売を営む女性は、コロナ禍の影響を受けにくい車の整備や車検で収入を安定させながら体制を整え、コロナ禍で廃業した元飲食店のオーナーなど、費用を抑えて開業したい人のニーズをつかみ、キッチンカー内部のレイアウトや販売方法も含めて提案しているということをご紹介いただきました。 

さらに、起業の障害を乗り越えるために、フリーマーケットで製造した菓子を販売し商品のコンセプトを固めて、ファンができてから菓子店の実店舗を開業した事例からは「小さく始めること」、移住先の地域活動に参加してネットワークと近隣住民との協力的関係を構築して空き家でゲストハウスを創業した女性の事例からは、「地域で仲間を増やしてから起業すること」の重要性などをご指摘の上、大きく成長する女性起業家も現れていることをご説明いただきました。

写真⑧ ご講演中の桑本主席研究員(2)

ご講演の最後には、次のようなまとめをしていただきました。

【まとめ】
・ダイバーシティが広まってきているおり女性の起業は増えているものの男女差は残っている。
・しかし、女性ならではの視点を基にした商品・サービスも生まれている。女性だから無理ということではなく、まずは挑戦してみることも考えられる。
・事例からは、小さく始める、仲間を作ってから始めるなどの工夫がみられており参考にしてほしい。
・紹介した事例からは、働き方の選択肢の一つとして起業もありうることがわかる。起業ではない働き方にとっても、あるいは男性にとっても大切であることを、これから社会人になる受講者に知ってもらいたい。


続いて、合同会社ティーレックスの代表/CEOである入間川 愛(いりまがわ あい)氏に「合同会社ティーレックス 狭山での企業事例」との演題で、ご自身のご経歴も交えて狭山市での起業の取組についてご講演いただきました。

写真⑨ 入間川CEOの講演資料の表紙

写真⑩ 入間川CEOのご講演のアジェンダ

【入間川CEOのご講演の概要】
狭山市出身で、「人々を『エンパワーメント』する」というミッションを掲げて狭山茶ブランド「Tea-Rex」を運営する合同会社ティーレックスを202310月に設立し狭山茶の販売、茶及び加工品の輸出入を行いっている。狭山茶の販売では、①インターネット販売、②キッチンカー・イベント出店、③店舗・法人向け販売、④店舗委託販売という多様な形態で狭山茶を販売している。併せて、ソフトウェア開発現場でフリーランスのエンジニアとしてのキャリアも継続している。

写真⑪ ご講演中の入間川CEO(1)

起業に際して、低リスク・スモールスタートを意識し、フリーランスの業務も継続することで、生活資金を確保している。

写真⑫ 入間川CEOの講演資料の一部(1)

また、起業の形態としては、一般的な「株式会社」ではなく「合同会社」を選択した。これは、株式会社と比べて、設立費用やランニングコストが安いこと、意思決定のスピードが速い、決算公告の義務がない、といったメリットを重視したからである。

写真⑬ 入間川CEOの講演資料の一部(2)

キッチンカーの団体、青年会議所、地元のお茶の製造・販売業者や中小企業の支援機関などの多様な組織・ヒューマンネットワークといったコミュニティとつながることによって、情報などの経営資源を得てビジネスを展開している。

写真⑭ 入間川CEOの講演資料の一部(3)

女性のライフステージに合わせた働き方の選択肢として、正社員(フルタイム・時短、リモート・フレックス)、契約社員・アルバイト・パート、業務委託(フリーランス)に加えて、「起業」もある。

自分は、新卒でシステム開発会社に就職し、開発現場を13年経験し、「QAQuality Assurance:品質保証)エンジニア」としてキャリアを特化した。

現在は、フリーランスのQAエンジニアとして独立し週3日勤務し、主にそれ以外の日でティーレックスのビジネスを行っている。

写真⑮ 入間川CEOの講演資料の一部(4)

ご講演の最後に以下のまとめをお話しいただきました。

【まとめ】
・人生全体に対するポートフォリオとして、「起業」という新規投資をしている。
・ビジネスの拡大を通じてミッション・ビジョンを実現したい。
・その際、選択肢を多く持ち、人とつながり、学び続ければ、安心して臨む未来に近づいていくことができると考えているとのお話をいただきました。

写真⑯ ご講演中の入間川CEO(2)

入間川CEOのご講演に対して、桑本主席研究員が①不足しがちな金融資本、人的資本、社会資本(ソーシャル・キャピタル)などを、様々な方法で獲得している点が参考になること、②狭山市の多様なコミュニティによる起業家への支援が充実していること、③ロールモデルとしての起業という選択肢になること、などを受講者に対してコメントしていただき、公開講座を終了しました。

写真⑰ 入間川CEOのご講演にコメントを述べる桑本主席研究員

働き方の選択肢は多様化しており、学生にとって、桑本主席研究員と入間川CEOのご講演はキャリアの選択肢としての起業・創業に関する良い学びの場となりました。

なお、この講演の実施に際して、本学SIC(サービスイノベーションセンター)のサポートを受けており、日本公庫総研(産業界・公的機関)、ティーレックス(産業界)と本学(学界)の産学官連携による人材育成としても位置付けることができ、有意義な社会貢献の取り組みにもなりました。

写真⑱ 講演終了後に撮影

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