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松澤ゼミが北陸で合宿を行いました!

松澤ゼミが北陸で合宿を行いました.

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松澤ゼミが北陸で合宿を行いました.

2024年、北陸地方について年明けの能登半島地震と3月の北陸新幹線敦賀延長開業という二つの大きなニュースがありました。これらの出来事は北陸地方の経済に大きな影響を与えるものです。そこで経済を学修する松澤ゼミでは北陸地方の地域経済動向をテーマに、917日から18日の2日間、石川県金沢市と福井県敦賀市を訪問しました。 

金沢では能登半島地震や、その観光への波及から経済にもたらしている影響等の調査を行いました。北陸新幹線では大宮出発時点でほぼ満席、その状況が金沢まで続き、3連休明けの平日でしたが旅行需要の大きさがみてとれました。金沢駅から名勝のひがし茶屋街、兼六園へむかうバスはあわや積み残し、というほどの満員で出発し、オーバーツーリズムの一端を垣間ました。ひがし茶屋街、兼六園とも個人・団体の外国人観光客がひっきりなしに到着し、少なくとも金沢市内では観光面での能登半島地震の影響は薄くなっていることを実感しました。
兼六園にて。外国人観光客がひっきりなしに訪れていました。

次いで、今年、金沢の中心地の香林坊から移転したばかりの日本銀行金沢支店を訪問し、鈴木営業課長から最近の北陸経済の動向について講話を頂きました。金融面では、金融機関の貸出は低調ながら、石川県の百貨店の売り上げはインバウンドの観光客の消費が旺盛であること、能登半島地震の影響では、ようやく震災被害の片づけ(土砂、瓦礫の搬出等)が一段落し、復興に向けた建設需要が見られ始めたこと、など、関東では分からなかった状況を知ることができました。
日本銀行の業務全体の解説の後、最近の北陸経済を説明して頂きました。

新紙幣の偽造対策の解説を受け、模擬紙幣などの展示コーナーで記念写真。

その後、「金沢の奥座敷」として発展した片山津温泉に向かい、当地で「大江戸温泉物語 ながやま」に宿泊しました。いわゆるバブル経済崩壊後、日本各地で大規模な宿泊施設が経営難から廃業、その周囲の温泉街も寂れていきました。柴山潟に面する片山津温泉でも宿泊施設の廃業が続き景観も損なわれていました。この施設は「都市再生特別措置法」に基づき、経営を大江戸温泉物語に移管、寝具提供や供食、チェックイン・アウトの自動化など徹底的に省力化する一方、食事の質等を維持して低廉な宿泊サービスを提供することで再生を図り、宿泊した当日は平日にもかかわらずほぼ満室でした。ただ、周囲の宿泊施設も施設内で娯楽・飲食が楽しめるよう囲い込んでいるためか、片山津温泉の市街地に人通りはほとんどなく(コンビニは片山津に一件しかありません!)、空き店舗が目立ちました。ゼミ生は大規模な宴会場だったと思われる30畳を超える部屋に宿泊し、往時を偲びながら学生どうしの親睦を図りました。
宿泊先の「ながやま」にて

2日目はまず、福井県敦賀市を訪れました。オーバーツーリズムの金沢と比べ、福井県は訪日外国人数が少ない県として対比されます。しかし海外との関係では、敦賀は戦前にはロシア・シベリア鉄道を経て陸路ヨーロッパへ向かう欧亜連絡の玄関口として栄え、ロシア革命の混乱で生じたポーランド孤児や、ナチスから逃れ「スギハラ・ビザ」で第三国を目指したユダヤ難民の受け入れ口となった町でもあります。戦後は原子力発電の拠点として発展しましたが、東日本大震災を受けて原発が停止したこともあり、近年は地域経済の活力が失われてもいます。そこで、北陸新幹線の暫定的な終点となり、在来線との乗換駅として観光客増加にも期待がかかることから、関東からの観光客の視点で市内の名勝を調査しました。
敦賀港の赤レンガ倉庫

市内に点在する、往時を偲ぶ赤レンガ倉庫や旧敦賀港駅の鉄道資料館、氣比神宮、気比の松原といった名勝、観光資源に恵まれており、これらを巡るいわゆるコミュニティバスが市の委託を受けて路線網を伸ばしています。ただ、平日に訪れたため観光客向け路線の便数は休日と比べて少なく乗り継ぎの工夫が必要なこと、また市の郊外に立地する、重要産業である原子力発電所の見学施設へは、敦賀駅から日帰りできるバスの便が設定されていない=公共交通機関で行けない、等の問題点も浮き彫りになりました。
702年創建とされる、北陸道総鎮守・越前國一之宮の氣比神宮

日本三大松原の一つ、気比の松原

最後に、北陸へ向かう琵琶湖沿岸の拠点として栄えた長浜市にも立ち寄りました。長浜駅は、現在では米原から敦賀へ向かう北陸本線の中間駅ですが明治の鉄道創業時に一時東海道線の終点となり、琵琶湖の水運と接続して栄えた町です。
長浜から見た琵琶湖

琵琶湖畔の長浜城にて

その後、北陸新幹線の延伸ルートとして再浮上した米原を経由して帰途につきました。

今回、現地の訪問は日程の都合で叶いませんでしたが、日本銀行への訪問で能登半島の復興はようやく端緒についたばかりであることが分かったほか、金沢一極集中で北陸新幹線の観光への潜在的恩恵が活かしきれていないことなど、北陸経済の課題が見えた学外活動となりました。

最後に、私どもの訪問に丁重に対応頂いた、日本銀行金沢支店、大江戸温泉物語ながやまのスタッフの皆様に感謝・お礼申し上げます。

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