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サービスイノベーションフォーラム開催

サービスイノベーションフォーラム「物産観光による地域振興」を開催しました!!

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サービスイノベーションフォーラム「物産観光による地域振興」を開催しました!!

2023年3月15日、本学はウエスタ川越(埼玉県川越市)において「物産観光による地域振興」とのテーマでシンポジウム「西武文理大学サービスイノベーションフォーラム」を開催しました。このセミナーは本学し主催し、2021年10月に締結した「埼玉県の物産観光振興に関する包括連携協定」の相手方である一般社団法人埼玉県物産観光協会(以下、「協会」)との共催で行われ、ネットでも配信されました(司会進行は、本学サービス経営学部の甘泉瑞応教授)。

最初に、本学学長の八巻和彦と協会副会長の朝霧重治氏(株式会社協同商事代表取締役社長)にあいさつをいただきました。  (左)八巻 学長  
  (中)朝霧 副会長
  (右)甘泉 教授

続く第1部の基調講演では、国土交通省関東運輸局観光部の部長である岡村清二氏に「観光による地域振興の取組について」とのテーマで、国土交通省の観光戦略とそのための施策や関東運輸局が推進している「江戸街道プロジェクト」を通じた地域活性化などについて解説していただきました。

第2部の事例報告では、一般社団法人信州いいやま観光局営業企画課長兼飯山駅観光交流センター所長の柴田さほり氏に「信州いいやま観光局(長野県) 地域連携による『ヒット商品』を生み出す取り組み」と題して、信州いいやま観光局の地域での地域資源を生みだすための活動について、住民との闊達な議論や地域資源を通じた住民の地域への「誇り」の醸成の過程や冬の風物詩「かまくらの里」のレストランがコロナ禍を受けた来客数の減少を客単価の上昇で補ったこと、本学が観光局などのご協力を得て飯山市で実施したプレスタディツアーなどについてご報告をいただきました。

第3部の活動報告では、まず協会の専務理事である櫻井正道氏から「埼玉県物産観光協会の取組」と題して、協会の活動全般と「新商品AWARD」についてご報告をいただきました。

その次に本学サービス経営学部の中谷勇介教授とそのゼミの学生2名が「産学連携によるゼミ活動~和(なごみ)プロジェクト~」と題して、2022年のホスピバル(本学の学園祭)において中谷ゼミが地域の企業・金融機関の協力を得て実施した足湯に入りながら抹茶を楽しむというイベントとそこから得た主体性・報連相・柔軟性が重要であるとの「学び」などについて報告しました。


第4部では、柴田氏、朝霧氏に加えて、株式会社JTB総合研究所の執行役員・企画調査部長の波潟郁代氏にもパネラーとしてご参加いただき、本学サービス経営学部の学部長である高瀬浩教授をコーディネーターとして、「物産観光による持続可能な地域活性化」とのテーマでパネルディスカッションを行いました。ディスカッションでは、第3部までの議論も踏まえて、コロナ期間中の物産観光による地域振興の対応策の事例、対応策から見えてきた物産観光業界への意味合い、コロナ後のインバウンド旅行者の見通しと今後へのヒント、物産観光による持続可能な地域活性化に必要なことなどについてパネラーに議論していただき、高瀬学部長が総括しました。

【ディスカッションでのご発言の一部】
(波潟氏)
・コロナ禍を通じて日本の様々な構造的課題が一層加速した中で、観光に関する情報の流通のあり方が変わった。オンラインツアーの普及によって、「行ってつながる」(リアルの旅行で現地の人とつながる)という従来型の旅行から、旅行に「行く前につながる」(オンラインツアーで現地の人やツアー参加者とあらかじめつながってから、現地にリアルの旅行に行く)というスタイルが実現している。

・地域資源のブランディングが地域活性化にとって重要。「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」で販売されている「むらちゃショコラテリーヌ 抹茶」のように成功している事例があるが、地域資源を販売するために他の企業のサプライヤーになってしまうとブランディングをできなくなってしまう。

・インバウンド旅行は2023年夏頃に回復が本格化すると見込まれる。海外(米英)では消費者物価と賃金が上昇している中で円安傾向によってインバウンド旅行者の日本での購買力が高まっているので、国内の物産観光関連の事業者は提供する商品・サービスの「価値に見合った価格」を設定するチャンスが到来している。

・出身地である新潟県では、越後妻有地域で「大地の芸術祭」というトリエンナーレ(3年に一度開かれる国際美術展覧会)が開催されている。来場者の高い評価が住民の誇りになっており、この「誇り」が物産観光による地域活性化にとっても重要。

(朝霧氏)
・協会では、2023 年までに新型コロナウイルスで打撃を受けた観光業の回復(旅行消費額等の数値を 2019 年の水準に戻す)を目指して第二期「彩の国DMO戦略」(2021~2023年)を推進している。

・SDGs(持続可能な開発目標)を全体のテーマに、協会内で会員研修旅行を実施した。訪問先は、①協同商事COEDOクラフトビール醸造所見学(趣旨:地域資源の活用と資源循環)、②四季の湯温泉 ホテルヘリテイジでの昼食(地域ブランド牛「武州和牛」の観光への活用)、③松本米穀精麦GPセンターの視察(鶏卵の安全安心とブランド化)、④熊谷スポーツホテルPARK WING見学(開業間もないホテルでスポーツと観光と地域の連携を探る)であり、協会会員企業の経営スキルの向上を図るとともに、高付加価値型の旅行商品の販売可能性を検討した。

・協同商事独自の取り組みとしては、①新型コロナウイルスの感染拡大により中止となった川越まつりを応援し復活を祈念すべく、「祭エール-Matsuri Ale-」を特別に醸造。1本あたり20円をお祭り開催のために寄付した、②川越、東北に引き続き、第3弾として「秩父夜祭エール」も開発、販売。地域とのコラボも深化させた、③東松山の自社醸造所を舞台に、麦の秋(むぎのとき)音楽祭を2023年5月下旬(麦秋の時期)に開催する、などを行った。協会と自社での取り組みを合わせて環境保護・資源循環・地域社会への貢献を通じて、「物産観光による持続可能な地域活性化」を目指している。

・埼玉県は730万人の経済圏であり、かつ多様な地域資源を有しており、大宮駅からは新幹線に乗ることもできるためマイクロツーリズムの推進にとって有利である。このため、例えば、県内だけではなく飯山市との間で地域間連携を強化して、物産観光に対する需要の「パスを回す」ということも考えられる。

(柴田氏)
・「かまくら」を訪れた6千人のうち、30%が県内から来訪者であったことから、マイクロツーリズムの推進に関しては、地元(近隣・県内など)に「知ってもらう」「使ってもらう」ために努力することが重要だと考えている。マイクロツーリズムとインバウンド旅行者の受け入れ推進の両軸で地域活性化を目指していきたい。

(高瀬学部長)
・パネルディスカッションからは、物産観光による持続可能な地域活性化のためには、地域資源の「磨き上げ(Brush-up)」と「ブランディング(Branding)」のための取り組みの「継続(Continuity)」、すなわち「BBC」が重要であることが浮かび上がった。


最後に、本学サービスイノベーションセンターのセンター長である藤野洋教授が関係各位への謝辞を述べて閉会しました。

このシンポジウムには、物産観光に関連する業界や行政の関係者、一般の個人など、多数の皆様から参加のお申込みをいただきました。埼玉県物産観光協会との連携の本格的なスタートとなるイベントであり、協会との包括連携協定の目的である地域経済の活性化とそれに貢献する人材の育成という社会への貢献に本学が力を入れていることを示すことができました。

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